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ニコノスの写真日記

フィルムとデジタルの狭間からお送りします。毎日写真を撮って気付いたことを書くブログ。スナップ、ポートレートが大好き。twitter: @nikonosf

写真家 荒木経惟さんに学ぶ

希代の天才アラーキーこと写真家、荒木経惟───独特の風貌に自ら「写狂老人」と名乗り、ポートレートを中心にスナップ、風景(つまり全て)を撮影。かなりの多作で知られ、国内外で人気が高い。

 

以前はアラーキー、と聞くとヌードを連想するだけだった。私がよく行くアート・建築専門の古書店では『墨東エロス』その他、彼の著作が並んでいる。表紙を開くと、女。蛇、紐。

気になるけど、立ち読みするには気が引けるんだよな…で終わっていた。

 

墨東エロス

墨東エロス

 

 

中版を探しているとき、「ペンタックス6×7 写真家」で検索をかけ、荒木経惟さんがヒットした。

どうやって撮るんだろう、とYouTubeで調べたところ…スタジオで撮影する荒木さんが。

「いいね!バチャコン!グリグリッ(←フィルム巻き上げ音)、もうちょっと首こう~バチャン!グリッ、そうそう!グーだ!バチャン!グリッ…」

なんだこれは!

鳴り止まぬけたたましいシャッター音、荒木さんの声が飛ぶ。フィルムを替える間は別のカメラで撮る、撮る、撮る!その様子はまるで格闘技のよう。全部文字に起こしたらすごいことになった。

でもでも、超カッコいいよぉ〜 迷いがなくて素敵。もう全部撮っちゃうんだね。

3時間の撮影で120フィルム(中判10枚撮り)50本撮る、という。わお…

 

 

街のスナップでもバシバシ撮る。

 息をするように写真を撮る。彼を神格化したいわけではないけれど、その表現欲には鬼気迫るものがある。「毎日が事件、だから写真を撮らずにはいられない」そうだ。

 

 

曰く写真は「ガラス窓」。

ガラス越しに撮ろうとすると自分も映り込んでしまうように、画面に自分がいなくても、何を撮っても、後でプリントを見た時、その時の記憶が鮮明に浮かんでくる…こんな経験ないだろうか?

だからどんな写真も「私写真」で、その時の自己と被写体の時を切り取っている。

 

センチメンタルな旅

センチメンタルな旅

 

 

自費出版時代の作品「センチメンタルな旅」は、自らの新婚旅行が題材となっている。現代では新婚旅行にカメラを持っていくカップルは多いだろうから、ある意味普遍的なテーマと言えよう。しかし人生の節目である自分の新婚旅行を撮っただけで「私写真」と名付けるのではない。

 

 

彼はこう語る。「表現ってよくいうけど、アタシの写真はアタシ自身の記録であって、見た人がいろんな解釈をするだけなんだよ…写真より文章の方がよく伝わるね。ウン。写真ってのはやっぱり曖昧だな、あはは」

芸術というものの核心を突いているな、と思うこの言葉。ちょっと寂しい話だけど、作品を理解しうるのは製作者だけなんだ。

 

それでも、私は荒木さんの写真に対する思いを知って、撮影に対する気持ちがぐんと軽くなった。

自分の記録なんだから、何を撮ってもいいんだ。

被写体を見て、写真になるかどうか品定めして、難しい顔して写真を撮るなんて馬鹿げてる。楽しく撮ればそれでいいんだ。

これからは「いいな」と感じたもの全部、撮ってしまおう。

 

ポートレート写真でも名高い彼は、写真家はシャッターを押しているだけで、本当の表現者は被写体なんだ、と言う。被写体の魅力とか、内面をどれだけ引き出すかが写真家の仕事…

いいこと言うね、ホント。雑誌 SWITCHで、今熱い女優がアルマーニを纏いアラーキーが撮る、という企画「女優礼賛」がある。ここには掲載できないが、彼が撮るとホントウに「事件」なのだ。ご一読あれ。

※ヘアメイクアーティスト、Rie Shiraishiさんのページに少し出ていました。Hair & Make Up Artist Rie-SWITCH 女優礼讃 photo 荒木经惟

 

 

今日のスナップ 荒木のマネは誰もできない。

 

 

 

Leica IID+Summitar 1:2/50mm Agfa APX400

f:id:cantonponeys:20161101162454j:image

とりあえず、フィルム代を稼がねば…

 

 

※参考文献(すべて動画ですが)

araki nobuyoshi - interview 2004 Fr - YouTube

豊田市美術館 「荒木経惟 往生写集―顔・空景・道」展 荒木経惟 オープニング・トーク 2014年6月29日まで開催 - YouTube

荒木経惟X 草間彌生 - YouTube

NOBUYOSHI ARAKI - YouTube