ニコノスの写真日記

フィルムとデジタルの狭間からお送りします。毎日写真を撮って気付いたことを書くブログ。スナップ、ポートレートが大好き。twitter: @nikonosf

保存版 〈フィルムカメラはこう使いなさい〉

まず、この記事のコンセプトをお伝えしよう。できるだけカメラを延命させることだ…


f:id:cantonponeys:20170410192429j:image壊れたマミヤプレス


新品で買えるフィルムカメラは、もはや希少。お金が有り余っていれば新品を買えばいいのだが、売っているのは高級プロ機材かトイカメラ。GF670が最後の星❇?

 

フジフイルム 富士フイルム GF670 Professional SILVER EX N

フジフイルム 富士フイルム GF670 Professional SILVER EX N

 

 

 

まず、毎日おなじカメラを持って撮りまくっている人。すぐにもう1台買いましょう。
次に、全く使っていないカメラがある人。すぐに売りましょう──

 

保管といっても、防湿庫に放り込んでいるだけでは「放置」に過ぎない。やっぱり構ってあげなくちゃ…

 

☆普段のメンテナンス

 

週に一度は空シャッターを切ることをオススメする。カメラは使いすぎると傷むけど、使わないのはもっとよくない。たまーに、「俺にはお前だけだよ…」とか何とか浮気男のような台詞とともに、シャッターを切ってあげよう。この際、スロー・バルブ・高速と、いろいろなスピードで切ること。

 

使ったあと、カメラを掃除する人がいるけれど、1つだけ注意。あなたは、高水圧洗浄機の弱点をご存知だろうか?

こすらず自動車や網戸、壁などの汚れを落としてくれるスグレモノだが、入ってはいけないところにまで水が入った結果、モノが故障することがある。

同じようにブロアーを用いてチリ・ホコリを吹き飛ばしているつもりが、少しづつそれらを絞りの隙間から入れることになっていたら、ファインダーのゴミが増えたり、最悪の場合カビも発生しかねない。過度な掃除も考えものということだ。

エラソーなこと言って読者の皆さんを脅している私はというと、カメラの掃除は

①柔らかい布で全体を払う(大きなゴミ除去)

②無水アルコールのタンポンでボディ・鏡筒を拭く(油分除去)

③ミラーボックス内をブロアーで吹く(ミラー・スクリーンのゴミ除去)

④セーム革でタンポンから出たホコリを取る(仕上げ)

という順に行っている。

 

レンズは拭かないこと。特に後玉はヒドイ汚れの時以外、ぜったいに触ってはいけない

毎回ではなく、気になったら掃除。汚れたと感じたとき掃除。③は省いてよい。

掃除のやりすぎは時間の無駄だし、しばしば弊害さえ生む。外見だけキレイになるのでは、まったく本末転倒と思いませんか?

 

 

 

 

無水エタノールP 500ml

無水エタノールP 500ml

 

 

 

綿球 No.20 50g 20mm

綿球 No.20 50g 20mm

 

できるだけ強力なブロアーが適。
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先端にラバーがついていると安心

 

☆お使いのカメラに応じた保守管理を

 

一口にカメラといっても、デジイチ・ライカなどに採用されているフォーカルプレーンシャッター、2眼レフや大判レンズで用いられるレンズシャッターの二種類が主で、それぞれ機械式・電子制御式がある。これはマニアならずともご存知の方が多いだろう。

 

電子式シャッターは、シャッターダイヤルを回すと接点が切り替わってスピードが変わる。この接点の腐食で不能になることが多いから、ダイヤルを何往復かグリグリ回す習慣をつけよう。

 

機械式の人は、それほど心配いらない。

フツーに使っていればいいのだ。なぜって、直せるから。オリジナルのパーツが破断した、みたいなケースは仕方ないが、一般的なカメラならば、職人さんの所へ持っていけば大抵直る。ライカなんかはいい例。レンズシャッター機も比較的直しやすい。

 

フォーカルプレーン機は特に、長期間(ひと月以上)使わないなら、巻き上げはフリーにしておこう。シャッターチャージしたままだと、バネが伸びたままになるからだ。自動巻き上げのカメラは、シャッタームラなんかが起こりにくいよう設計されているはず。

 

これは全てのカメラにいえる事だが、部品が腐食すると当然、ガタが来やすい。ネットを検索すると、カメラ・レンズをとにかく防湿庫へ!という意見が多い。しかし、2日に一度のペースで使っていれば特に防湿庫は必要ないと思う。

私のようにカメラを何台もお持ちの方は、防湿庫へgoです。現像済みフィルムもぶち込んじゃって下さい。

ちなみに私は防湿庫、持っていません。あんなに大きい箱を設置する場所は我が家に存在しないので、パッキンつきのクリアケースに

 

東洋リビング モバイルドライ 除湿ユニット MD-2

東洋リビング モバイルドライ 除湿ユニット MD-2

 

 こいつを入れて保管している。

防湿庫についてもう一言。湿度40%に保つ、というウリだけれど、窓際に置いたりして直射日光が入ったり、温度変化が激しかったりするとよくない。気を付けよう。

 

レンズについては、折を見て半日くらい直射日光に当ててあげるとカビの予防になるとか。

Banho de sol nos 'olhos das meninas' - Sun Bath in spare lens

黄変レンズを脱色させる効果もあります─

 

 

靴や鞄などの革製品でよく言われることで、毎日同じものを身につけていると、いわば休みなく労働するのに似て疲労・劣化を早める。

カメラもほどよく休ませながら、ローテーションで使ってあげれば、連日酷使するより長く持つことは自明である。

 

☆ドライにカメラと付き合おう

 

長持ちするのは嬉しいことだが、カメラを過保護にしては勿体ない。

結局のところカメラは道具である。

置物ではなく、使ってナンボのものなのだ。

 

Finding my inspiration

 

撮影中は本気でガシガシ使って構わないと思う。粗雑に扱うのとは違うけれど、いろんな所へ連れていって、自由に撮るべき。いいカメラなら、きっとその本気に応えてくれる。

これだけの保守・管理をして、使用中に壊れてしまったら仕方がない。修理屋へ持っていくなり、売るなりすればいい。

 

どうしてもこのカメラがいい!という人は一定数いて、部品取りのためジャンクを収集する業者さんも存在する。

写ルンですに毛が生えた程度のものなら捨ててもよかろうが、昔は高価だったカメラには、きっとドライじゃないファンがいるので、なるべく捨てないようにしよう。

カメラ・レンズは日本の、世界の文化遺産である──‼


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