Mamiya6 Automatの修理と"フォトショ"
220フィルムが事実上消えた今、フィルムを使う理由って何だろう?と真剣に考えている。いや、趣味だから真剣になる必要はないのかもしれないが、あえて趣味だからこそマジメに取り組むのだ(いぇす)。
カメラの話だけ読みたい方は、③までスクロールして下さい(笑)
①無加工≠いい写真
デジタルのことをチョッとは勉強して、嫌いだったレタッチも肯定できるようになった。
○○○pxなどの審査制写真サイトに多い、極彩色の風景写真なんかを見ると違和感を覚える。そういうどぎつい修正が"Lightroom"であり「フォトショ」なのだと勘違いしていた。
レタッチとは、撮った写真を自分のイメージに近づける作業。まず構図で語ることは必要だけれど、色彩にも工夫は必要だ。様々な表現技法に触れず、ただ撮って出しして「無加工」の殻に籠るのは非常にもったいない。
私も「無加工」を気取っていたが、暗室を経験してから変わった。写真表現にレタッチは必要。
わざわざ無加工を標榜するのは、過剰な加工、誰でも「盛れる」ことへの反動かも。
撮ったときの感動をぜひ!皆さんにも味わって頂きたいのです…!という気持ちでいるなら、避けては通れない道かな、と。
いろいろイジった結果、最初の無加工プリントの方が良く見える、なんてことはよくあるけど、その試行錯誤が(よりよい)次の作品に繋がるのだと思いたい。
(アナログの人はどうイジったか記録しておこう)
②批評≠非難
自分の写真に満足できないからといって安易にイジれば良くなると考えるのは駄目。臭い魚はどう煮ても喰えぬのだ。
誰でも「自分の写真、上手く撮れてるのかな?」と悩むことがあると思う。そういう時、頼りになるのは趣味仲間だったり、自分の美意識だったりする。
共通の趣味について話すのは、無上の歓びと言えるだろう。生まれも育ちも違う他人と、ある話題については年来の知己のように語り合えるのだから。
それでも、人の写真を批評するのには相当の努力を要する。中傷や非難ではなく、批評が必要とされるからだ。表現技法についての知識、写真芸術の文脈やトレンドも押さえなければならない。
自分の写真を批評するのも、なかなか難しい。撮ったときの思い出、思い入れが意識するしないに関わらず浸入してしまうからだ。
さて。
私は写真好きでもあるが、それ以上にカメラ好きであるのは読者諸兄もよくお分かりと思う。
使ったことのない型のカメラは、一度使ってみたくなるのがクラカメマニアの性。
135, 120, 4×5, 一眼レフ、二眼レフ、ミラーレス、レンズシャッター…
③次は、スプリングカメラだ!
スプリングカメラは20世紀初頭に世に出て、日本では1950年あたりが全盛期であった。フォーマットは645,66が多く稀に69がある。
645、66、67と使ってきたけれど、初めに使った中判が2眼レフだったからか、66に最も愛着を感じる。
マミヤシックスは、ただ66というだけでなく距離計に連動するフィルムの圧板で焦点合わせを行う、珍しいカメラなのだ。
レンズを前後させずセンサーを前後させるので、開閉や衝撃によりレンズの支えが少しくらい歪んでもピントがズレないのが利点。
スプリングカメラの弱点として、蛇腹に穴が開いたら終わりではあるが、構造的にはタフなカメラと言える。
購入にあたり、ボロいカメラに一万円以上かけるのは許せない(偏見)ので、レンズが曇っていてもいいから外観だけはキレイなものを買おう、ということでヤフオクからやってきたカメラは、見事にレンズが曇っていた。いわゆる「ズイコー曇り」というやつだ。
しかも素人が研磨しかけて途中で諦めた感じ。あー、パチもん掴まされたか…
しかし泣き寝入りは絶対に嫌だ。
前オーナーがしたテキトーな仕事をフォローしてみる。「激落ちくん」にハードコンタクトの研磨液をつけて磨くと、割とイケるんじゃないか、というレベルまでコーティングが落ちた。
このままだとキズが多いので、
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これを使う。
透過率は少々犠牲になるが、キズはきれいにコーティングされ、↓のような状態まで回復。
ご覧下さい、汚いでしょう?
これでも大分マシになったのですよ。
このカメラは「オートマット」モデル。巻き上げと同時にシャッターチャージも済んでしまうスグレモノだ。おまけに自動巻き止め機構もついており、赤窓ナシで撮影ができる。なぜ不要なハズの赤窓がついているのは不思議だが、その赤窓のおかげで私は命拾いした。
コマ間が出るかが心配で、裏紙だけのテストフィルムを入れて巻き上げてみたところ、うーん、出ない!ボディのカウンターでは"12"となっているのに、赤窓を覗くと"10"の文字が。
(イメージ)
コマかぶりが起きそうなヨカン…
結局、全カット赤窓使用で撮る羽目になった。ローライのポジ、CR200で試写。
露出とカメラの扱いにかけては、ちょっとした自信がある。だから駄目な所は全てカメラのせいにする。
太陽側に向けると駄目だ。
順光だと…
今回の試写は、思ったより良く写っていたな、という感触だ。
何だか、昨日撮ったのに昔の写真、みたいな。
ローライのポジというのがまた曲者で、これが富士のフィルムだったら更に良好な画像が得られただろう。
参考までに同じフィルムをブロニカ(Nikkor-O 50mm/f2.8)で撮った写真を載せておく。
マミヤ6のレンズはほとんどズイコー銘らしいが、少数ながら持病の曇りがないマミヤ製レンズの個体も存在し、私もヤフオクで見かけたことがある。
ズイコー銘で曇りが少ない個体を選んで再研磨屋さんに持ち込み、ピカピカの状態で撮影したら、さぞ優秀な写りをすることだろう。何故なら上のような酷い曇りでさえ明瞭に写るし、最もオーソドックスといえるテッサー構成のレンズだから。
マミヤプレスの100mm/f3.5(テッサー型)も恐ろしくよく写ったことを憶えている。
使い勝手としては、巻き上げダイアルのギザギザが指に食い込んで痛かったの以外は特別問題を感じなかった。欲を言えばコマ間しっかり出てくれると嬉しかった…
マミヤ6には数多くのモデルがあり、それぞれ前期後期などに分けられる上、50年以上前のカメラであるから個体差も無視できない。きっとコマ間の出るモデル、個体もあることだろう。(出なかったら赤窓を使いましょう)
良いところは「からくりマミヤ」と呼ばれるだけあって、レンズ収納時もシャッターロック機構、無限遠に戻さなくてもレンズを収納できることや、二重写し防止機能など。私の知る限り、このカメラの後継機”オートマットⅡ“(視差自動補正フレームつき)を除き、スプリングカメラでこれ以上のものは無い。
最後に
この時代にフィルムカメラ、それも中判で連写をしようなどとは思わないだろうから、巻き上げに多少時間が掛かっても構うまい。
高画質の中判なのに鞄にスッと入るコンパクトさ、同じレンジファインダーでもライカより静かなシャッター音は「スローフォト」に最適なのではないか。