ニコノスの写真日記

フィルムとデジタルの狭間からお送りします。毎日写真を撮って気付いたことを書くブログ。スナップ、ポートレートが大好き。twitter: @nikonosf

愛しのタクマー with Pentax SP

私のオールドレンズ遍歴 No.4

高校の部室で見初めてから2年ほど公私ともにガシガシ使っていたPentax SPだが、私物化するのはイカンということで返却。なんで応援団の部室にカメラなんか置いてあったんだろう?未だに不思議。

 

SMCタクマー55mmは、Sony α7でM42星雲へ旅をしたときに買い戻したが、前みたいにフィルムで撮りたいな、と思っていた。

 

買い物の帰りに立ち寄った中古屋のジャンクコーナーで、1000円のSPを発見。1000円くらいになると大体、ファインダーがカビッカビだったり、ペンタプリズムが腐蝕していたり、シャッター後幕が最後まで走らなかったりと重病人が多いのだが、こいつはそういう問題が何一つ見当たらない。

モルトがカスみたいなのは当たり前。病気どころか、長く死蔵されており下手にいじられていない証拠。これは買いだなーと連れて帰ったが、いざモルト交換、となった時ジャンクたる理由を知った。

裏蓋が固くてなかなか開かないのだ。もしや検品のとき開かずに諦めたか?

 

カメラをヘッドロックして引っ張る。

お店では気持ちよくパカっといったのに?

うなる。ぐりぐり。

やっと開いた。ヨシヨシ。

 

シャッターも低速が少し粘るくらいで完璧である。

切り現テストせずとも普通に撮れることは明らかで、早速SMC TAKUMAR55mm F1.8をマウント、Fuji C200を入れ撮影に行った。

この日は砂埃がひどく、壊れてしまうのではないかと風が吹くたびコートで保護しながら歩いた。重さもカッコもまるで拳銃のようだ。

 
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そう、このカメラはけっこう重い(標準55/1.8つき約910g)。先日、一眼レフが気になりはじめた友人とカメラ屋でCanonのkiss(キット標準ズームつき約575g)を触ったが、位置付けとしては同じ大衆機なのにフィルムユーザーは苦労してるのね…

フィルムで撮りたくなったら、いつでも貸してあげるよ、と言った。

苦笑。

 

このセットで写真を撮り始めた頃は、学園祭などのイベント以外に大して撮る機会もなく、フィルムを無駄にしないようにという気持ちもあってか月に1本弱だった。

 

現在、月に4本は軽く撮っているので恐ろしい限りである。ポートレート撮影の機会があると、1度に5、6本撮る。人物の場合は撮らなきゃ勿体ない気がして、パカパカやってしまう。

 

さて、カメラの話に戻ろう。

電池はアダプターを介してLR41を使用可能で、今回はゴムリングで自作した。あんまり使わなかったけど。

 このカメラは絞り込み測光であり、いちいち絞らないと露出が合っているかわからない。AEもないから単体露出計のみに頼った方が、構えてから撮るまで速い気がする。

 

カラー、モノクロの順に一本づつ撮ってセットで売り払おうと思ったのに、2本目の途中からミラーアップして戻らない癖がついてしまう。(何コマかに一度はミラーが降りてくれる)シャッターは動いているので画像への影響は無い。

ファインダーがあるにもかかわらず目測で合わせて、真っ暗なファインダーを覗きながらシャッターを切る。

パコン!

ミラーが戻った。おっ…ちゃんとピント来てる!よしよし。
f:id:cantonponeys:20170327225045j:image青山の団地で奇跡のガチピン。


f:id:cantonponeys:20170328001154j:image日本家屋

20mくらいに合わせて絞ればOK。

 

モノクロ写真では、青空を暗く落とすため黄色フィルターを使うことが多い。この写真でも若干その傾向があるけれど、黄変の影響だろうか?ちなみにフィルターは普通のUV(紫外線カット)。

 


f:id:cantonponeys:20170328001255j:imageこわ…

これは、見えてましたね。ファインダー像が。

 

PentaxSPは(ほとんどマニアの戯言であるが)巻き上げの感覚、あれが気持ちいいのだ。中古屋でチェックするだけでは絶対にわからない、フィルムを入れたときの巻き上げ。適度に重い「ムチューッ、カチッ」というトルク感…ヘンタイですみません。

でもやっぱ違うんです。後の時代のプラカメ達と比べちゃうと。造りの良さが歴然。

巻き上げまで楽しいカメラって、そんなに多くないもの。

 

ファインダーは暗く、特に光の少ない場所でのピント合わせは至難。後の時代の物には敵わないが、その他の部分ではけっこう健闘していると思う。

 

そしてレンズ。

私はこのレンズが好きだ。なぜなら、愚直なまでにしっかり写るから。

しかし数が多く、黄変個体も多いために数あるレンズの中では最安値で取引されている、ジャンク箱のヌシ。

  

解放から一段くらい、ほんのり周辺減光が気になる。

絞ればごくごく普通のレンズ。黄変している「アトムレンズ」つまり放射能を持つ困ったレンズもあるが、こいつが性能を上げていることは確か。

見た目はすごく黄色だけれど、実際に撮ってみるとそこまで気にならない。もし気になる人はホワイトバランスをマニュアル調整すべし。フィルムの人はモノクロで撮るべし。


f:id:cantonponeys:20170327230139j:image開放


f:id:cantonponeys:20170327230209j:imageたしかf4くらい。

f:id:cantonponeys:20170327230242j:imageこの写真を撮っているとき、後ろでオジ様が「みんなカメラ持ってやがる…」とボヤいていた。明治神宮


f:id:cantonponeys:20170327230420j:imageこんなに素敵な所にいて、写真を撮らずにいられない。

 


f:id:cantonponeys:20170327230521j:image風が強いのに、外でお弁当。
f:id:cantonponeys:20170327230637j:imageF11まで絞る。シャキッと写ります。右下の人たち、演劇部っぽいな?
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代々木公園。

 

これで撮りまくっていたからか、55mmは私にとって基準の焦点距離だ。パッと見で撮れる、慣れた画角。

55㎜という焦点距離は、今でもマイクロニッコール55/2.8で使っている。

 


f:id:cantonponeys:20170328002413j:image再び、団地。kentmere 400(SPD原液 20℃ 6min20sec)



f:id:cantonponeys:20170328001954j:imageラスト・ショット。

中古屋の親父さんに、直してやるから持って来い、と言われているが、自動巻き上げのAFカメラと比べると不便。直してもらっても、あまり使わないだろう。

だから、これで撮り納め。

さよならタクマー。