Mamiya6 Automatの修理と"フォトショ"
220フィルムが事実上消えた今、フィルムを使う理由って何だろう?と真剣に考えている。いや、趣味だから真剣になる必要はないのかもしれないが、あえて趣味だからこそマジメに取り組むのだ(いぇす)。
カメラの話だけ読みたい方は、③までスクロールして下さい(笑)
①無加工≠いい写真
デジタルのことをチョッとは勉強して、嫌いだったレタッチも肯定できるようになった。
○○○pxなどの審査制写真サイトに多い、極彩色の風景写真なんかを見ると違和感を覚える。そういうどぎつい修正が"Lightroom"であり「フォトショ」なのだと勘違いしていた。
レタッチとは、撮った写真を自分のイメージに近づける作業。まず構図で語ることは必要だけれど、色彩にも工夫は必要だ。様々な表現技法に触れず、ただ撮って出しして「無加工」の殻に籠るのは非常にもったいない。
私も「無加工」を気取っていたが、暗室を経験してから変わった。写真表現にレタッチは必要。
わざわざ無加工を標榜するのは、過剰な加工、誰でも「盛れる」ことへの反動かも。
撮ったときの感動をぜひ!皆さんにも味わって頂きたいのです…!という気持ちでいるなら、避けては通れない道かな、と。
いろいろイジった結果、最初の無加工プリントの方が良く見える、なんてことはよくあるけど、その試行錯誤が(よりよい)次の作品に繋がるのだと思いたい。
(アナログの人はどうイジったか記録しておこう)
②批評≠非難
自分の写真に満足できないからといって安易にイジれば良くなると考えるのは駄目。臭い魚はどう煮ても喰えぬのだ。
誰でも「自分の写真、上手く撮れてるのかな?」と悩むことがあると思う。そういう時、頼りになるのは趣味仲間だったり、自分の美意識だったりする。
共通の趣味について話すのは、無上の歓びと言えるだろう。生まれも育ちも違う他人と、ある話題については年来の知己のように語り合えるのだから。
それでも、人の写真を批評するのには相当の努力を要する。中傷や非難ではなく、批評が必要とされるからだ。表現技法についての知識、写真芸術の文脈やトレンドも押さえなければならない。
自分の写真を批評するのも、なかなか難しい。撮ったときの思い出、思い入れが意識するしないに関わらず浸入してしまうからだ。
さて。
私は写真好きでもあるが、それ以上にカメラ好きであるのは読者諸兄もよくお分かりと思う。
使ったことのない型のカメラは、一度使ってみたくなるのがクラカメマニアの性。
135, 120, 4×5, 一眼レフ、二眼レフ、ミラーレス、レンズシャッター…
③次は、スプリングカメラだ!
スプリングカメラは20世紀初頭に世に出て、日本では1950年あたりが全盛期であった。フォーマットは645,66が多く稀に69がある。
645、66、67と使ってきたけれど、初めに使った中判が2眼レフだったからか、66に最も愛着を感じる。
マミヤシックスは、ただ66というだけでなく距離計に連動するフィルムの圧板で焦点合わせを行う、珍しいカメラなのだ。
レンズを前後させずセンサーを前後させるので、開閉や衝撃によりレンズの支えが少しくらい歪んでもピントがズレないのが利点。
スプリングカメラの弱点として、蛇腹に穴が開いたら終わりではあるが、構造的にはタフなカメラと言える。
購入にあたり、ボロいカメラに一万円以上かけるのは許せない(偏見)ので、レンズが曇っていてもいいから外観だけはキレイなものを買おう、ということでヤフオクからやってきたカメラは、見事にレンズが曇っていた。いわゆる「ズイコー曇り」というやつだ。
しかも素人が研磨しかけて途中で諦めた感じ。あー、パチもん掴まされたか…
しかし泣き寝入りは絶対に嫌だ。
前オーナーがしたテキトーな仕事をフォローしてみる。「激落ちくん」にハードコンタクトの研磨液をつけて磨くと、割とイケるんじゃないか、というレベルまでコーティングが落ちた。
このままだとキズが多いので、
【傷や汚れから保護するメガネレンズコーティング・簡単洗浄】nanotol Pro(ナノトールプロ) メガネ レンズ コーティング剤&クリーナー クロスセット 全メガネ対応
- 出版社/メーカー: nanotol Pro
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
これを使う。
透過率は少々犠牲になるが、キズはきれいにコーティングされ、↓のような状態まで回復。
ご覧下さい、汚いでしょう?
これでも大分マシになったのですよ。
このカメラは「オートマット」モデル。巻き上げと同時にシャッターチャージも済んでしまうスグレモノだ。おまけに自動巻き止め機構もついており、赤窓ナシで撮影ができる。なぜ不要なハズの赤窓がついているのは不思議だが、その赤窓のおかげで私は命拾いした。
コマ間が出るかが心配で、裏紙だけのテストフィルムを入れて巻き上げてみたところ、うーん、出ない!ボディのカウンターでは"12"となっているのに、赤窓を覗くと"10"の文字が。
(イメージ)
コマかぶりが起きそうなヨカン…
結局、全カット赤窓使用で撮る羽目になった。ローライのポジ、CR200で試写。
露出とカメラの扱いにかけては、ちょっとした自信がある。だから駄目な所は全てカメラのせいにする。
太陽側に向けると駄目だ。
順光だと…
今回の試写は、思ったより良く写っていたな、という感触だ。
何だか、昨日撮ったのに昔の写真、みたいな。
ローライのポジというのがまた曲者で、これが富士のフィルムだったら更に良好な画像が得られただろう。
参考までに同じフィルムをブロニカ(Nikkor-O 50mm/f2.8)で撮った写真を載せておく。
マミヤ6のレンズはほとんどズイコー銘らしいが、少数ながら持病の曇りがないマミヤ製レンズの個体も存在し、私もヤフオクで見かけたことがある。
ズイコー銘で曇りが少ない個体を選んで再研磨屋さんに持ち込み、ピカピカの状態で撮影したら、さぞ優秀な写りをすることだろう。何故なら上のような酷い曇りでさえ明瞭に写るし、最もオーソドックスといえるテッサー構成のレンズだから。
マミヤプレスの100mm/f3.5(テッサー型)も恐ろしくよく写ったことを憶えている。
使い勝手としては、巻き上げダイアルのギザギザが指に食い込んで痛かったの以外は特別問題を感じなかった。欲を言えばコマ間しっかり出てくれると嬉しかった…
マミヤ6には数多くのモデルがあり、それぞれ前期後期などに分けられる上、50年以上前のカメラであるから個体差も無視できない。きっとコマ間の出るモデル、個体もあることだろう。(出なかったら赤窓を使いましょう)
良いところは「からくりマミヤ」と呼ばれるだけあって、レンズ収納時もシャッターロック機構、無限遠に戻さなくてもレンズを収納できることや、二重写し防止機能など。私の知る限り、このカメラの後継機”オートマットⅡ“(視差自動補正フレームつき)を除き、スプリングカメラでこれ以上のものは無い。
最後に
この時代にフィルムカメラ、それも中判で連写をしようなどとは思わないだろうから、巻き上げに多少時間が掛かっても構うまい。
高画質の中判なのに鞄にスッと入るコンパクトさ、同じレンジファインダーでもライカより静かなシャッター音は「スローフォト」に最適なのではないか。
TOPCON UniとFujichrome T64
古いカメラが欲しいと思った。
シャッター音の可愛い、手に馴染む一眼レフがいい…
フリマアプリで探すと、悪くなさそうなジャンクがあったので、トプコン ユニの黒ボディを手に入れた。安いので心理的な抵抗が少ない。
廉価機の位置付けにあった品物だから大して期待はしていなかったのに反して、総金属ボディに革張り仕上げという出で立ち、標準53mm/f2.0付きで850gの適度な重み、クラカメ好きには堪らない。
ジャンクなので、シャッター速が出ているか心配だったが問題なし。TTL露出計は一応動いたけれど精度が心配なので使わない。
まあ、正直言っていつまで動くか未知数な部分はある。もともと完品ではないので壊れても直すかどうか…
さて、このカメラはレンズシャッター式一眼レフという珍しい仕組みとなっている(正確には「ビハインドシャッター」)。
ほとんどの一眼レフがフォーカルプレーンなのに対して、である。利点としてはシャッター幕に係わる諸問題が起こらないところか。
困るのはマウントの穴が小さくミラーやスクリーンの掃除をしにくいこと。
同じレンズシャッターでも、京セラ・サムライと同じクイックリターンミラーなので、撮影後のファインダーはマミヤ67やHasselbladのようにブラックアウトしない。これはいいところ。
絞りはf2〜22、シャッタースピードは1秒〜1/500秒でレンズシャッターとしては一般的なスペック。そしてシャッター優先オート。
この時代の一眼レフにオート機能があることはオドロキで、ちょっと使ってみたかったが動かなかったので電気系統の修理に取り組みかけ断念。
以前シャッターの切れないライカをオークションで落札して、いざ開けてみたはいいものの、状態をさらに悪化させてしまったので、第n番目の犠牲者を出さないためにも、わからないモノには触りたくない。
軍艦部を開けてファインダーのゴミだけ取り除いて終いにしておいた。
ちなみにコイツのシャッター音…かなりダサいです。振ると「ゲコッ」と音の出る幼児用玩具みたい。【楽天市場】スマイル ピコピコハンマー おもちゃ 3色【RCP】【あす楽対応】:アメリカン雑貨RUNAWAY
しかしまあカワイイ音ではあるのです…
富士の期限切れタングステンフィルム(T64)で試し撮りに行った。当然ながら真っ青な画面になるけれど、褪色も相まって朽ちたような色味になっていたので、ひどいものはスキャン時に「褪色補正」をかけておいた。
開放付近で。
ネットで見て心配していた「ミラーが最後まで上がらない」症状も出ておらず、さすが東京光学、と思わせる写りをしてくれた。逆光には弱いので注意が必要といったところか。
バリ地元の写真です、はい。
シャッターボタンが面白い位置にあり、押しやすそうに見えるが実際ブレやすく、結局「手に馴染む」という最初の希望は達せずじまいだ。
しかしシャッターを切ってみると、かなりユニークな音で鳴くので、ベコベコやっているうちに愛着が湧いてきてしまう。困ったものだ。
それに、もう1つ忘れてはいけない所…
レンズ。
名玉が多いことで有名なTOPCORである。
このレンズも例に漏れず開放で使うとかなり匂いやかな写りをしてくれる。絞っても立体感を失わない描写は見事と思う。
私の個体はバルサム切れがひどいので、もし完品を使ったならばさらによい結果が出ただろう。
後にモノクロ(Acros100)で撮ってみたら、特に階調性において、ニコンのAi50mmを凌駕する写りであった。これは素晴らしい。(フィルター使用)
ピントリングの仕上げがコシナ・ツアイスのローレットに似ているところも評価ポイントとして挙げていいだろう。回してみると適度な重みが心地よい上に、ZFレンズやαE用ツアイスもかくや、と思わせる仕上げとなっている。
↑ローレット仕上げ…?
このカメラはヤフオクでも標準セットで5000円以下が相場である。
こんな価格で買ったし、動いただけでも儲けモン、置物にしてしまっても惜しくないという代物。防湿庫には入れず、ホコリの心配がない棚に置くことにした。カビないといいな…
時をかける写真
こんにちは、ニコノスです。
ほぼ一年ぶりの投稿であります。
勉強が忙しくなるので、2018年までフィルムにも長期休暇を与えます。
— ニコノス (@nikonosF) 2017年5月6日
戻ってきたらまた話しかけて頂けると嬉しいです!#今日の空 pic.twitter.com/j5KUAmTC3S
5分ほど私自身の話に付き合って貰いましょう。
2017年4月、翌年春の試験に備えてネガの現像を一切しないと宣言した。
Twitterやブログで遊ぶのも禁止。
とはいえ、10月くらいまで毎日のようにカメラは持ち歩いていたし、投稿は控えたにせよSNSは隔日でチェックしていた。
何とか追い込みを掛け試験で良い結果を出し、この一年で撮ったフィルム約50本を現像したところ、あることに気付いた。
それは、明確な目的を持っていた時、つまり写真を撮るために出掛けた時の写真と、惰性で撮った写真(出掛けたついでに撮った写真)とでは歴然の差があること。
だから今後は目的のあるときだけ、カメラを持ち出すことに決めた。
これは私にとって大きな収穫だ。
そして、このことに気付かせてくれた写真フィルムという媒体にも感謝している。撮ったその日にゴミ箱行きだったら、後で(すなわち今)それについて考えることも無かっただろう。
私がこの話を通して伝えたいのは、記録の大切さだ。
ちょっと大仰な話になるが、人間の記憶というものはいとも簡単に歪められてしまう。多くは他人によって、ではなく自分自身によって。かつての失敗を忘れ、より美しく、単純に書き換えてしまう。
その証拠に、老人たちの昔話は多く「厳しかったが道徳と人情に溢れた旧き良き時代」への賛辞である。
明日をより良いものにしたいならば、私達は戦争を美化してはいけないように、過去を単純に美化せず、過去から学ぶべきだ。
美化できるのは、それが遠くにあるとき、あるいは過ぎ去ったときのみである。どんな過去も当時においては厳しい「今」でしかないからだ。
記録は、私たちの記憶を忘却や歪曲から守るためにある。過去は記録と向き合ったときのみ私たちの前に現実味を持って現れるのだ。
↓ここから写真の話↓
デジタルカメラの消去機能は、記録を残すという観点から見ると悪である。
作品づくりという観点から見れば、気に入らなければ消すのがいい。有名な写真家で、若い頃の作品をドラム缶いっぱい詰めて焼いたが後悔していないという話も聞いたことがあるし、より良いものを創るのが使命なのだから。
しかし記録が目的となると話は違ってくる。ボケボケ、真っ白、真っ黒など完全な失敗ならまだしも、対象の写っているものでさえ駄目なら消すという態度は、記録に恣意的な解釈を加えてしまうことになる。
それが悪意に基づかないにせよ、消したことはいつか忘れてしまい、消えた写真はもう戻らない。
フィルム写真の良いところは、ここにこそあると思う。
少しくらい見映えのしない写真でも、シートからフィルムを引っ張り出してそのコマだけ切り捨てるというのは面倒で、結局残ってしまう。
忘れた頃に出て来て、あの頃のことに想いを馳せても良い。
↓ここからカメラの話↓
高校のとき、部室にあった旧いカメラで仲間を撮り始めたのが私の写真趣味の最初である。
このカメラです↓
愛しのタクマー with Pentax SP - ニコノスの写真日記
後輩が掃除をしていたら2本のフィルムが出て来たそうなので、母校まで取りに行った。
撮ってから3年以上経っているし、当時はド・シロートだったので写っているか不安だったが…
高校の中庭。懐かしい…
長い放置期間にしては、発色も悪くない。
よく見るとブレていたりする。
裏蓋を開けてしまったか何かで、消えかけている画像もあったが、当時の友人や情景がそのままに残っていた。
写真を見ると、いい思い出だけでなく悪い記憶、例えば片想いの人にフラれたままぎこちない関係が続いたことを思い出してしまう(実話)。
それも含めて新たに自分を見つめ直す機会になったので、写真を趣味にしていて良かったと思う。フィルムを見つけてくれた後輩に感謝だ。
これからも、フィルム写真を続けようと思う。そしてこれからもニコノスを宜しくお願いしますm(._.)m
Bronica EC-TL Zenzanon100/2.8
Pentax67を買ったら67IIが欲しくなった話
今まで、何かと理由をつけ使って来なかったペンタ67。でも、一度は使ってみたかった。今回遂に整備済み、かつ安価なものを手に入れることができた。マミヤプレスを初期不良返品したお金が手元にあったことも背中を押した。
正方形フォーマットは、縦にも横にも長くない。迷いは無いが長四角の写真が一般的すぎて、ましかく写真には一種の違和感を覚える。よって、使いにくいこともある。でも6×6は大好き。
Bronica EC-TL_Zenzanon100/2.8_Ekter100
なんだか構図が窮屈だなーと感じながら撮っていたら、ちょっと窮屈な写真になった。
マミヤプレスで67フォーマットを初めて使ったのだけど、6×6に比べて使い勝手がいいというか、被写体を選ばないというか、トテモやりやすい。
もちろん正方形フォーマットが映える被写体も沢山あるのだけど、ああ、67も悪くないな─と。
67で撮れるカメラは有名どころでペンタ67、マミヤRB/RZ、マキナ67…等あるが、ペンタックスのタクマーレンズ群だけ、あまり評判がよろしくないのが気になる。無理やり有効口径を大きくして、開放f値を稼いでいるから解像度が悪いとか何とか…
レンズを前から覗いてみると、硝子玉がミッチリと詰まっている。─黒い、大きな瞳の女の子に見つめられているような──圧迫感。
大口径厨を殺すレンズ。
しかし、よく考えてみるとプリントで大伸ばしする際に気になるのは、レンズの解像度よりもフィルムの粒状性。まあ大丈夫だろう。
そしてプリントに関して言えば、フォーマットが大きいほど楽しい。ハーフより35mm、35mmより中判、中判より大判。
(キミ、欲張ってると、写真機に押し潰されるぞ…‼)
(ロクナナおよび中判に興味をお持ちの方は、sx-70 forever blog様にて楽しく学べるのでご参照あれ。
→http://blog.sx70.jp/archives/cat_10123938.html)
夢の国への扉、開いて見ませんか。
ショーケースを前に悩んでいると、カメラ屋の店主が煽るのである。「最近バイヤーが多くてね~人気だよペンタ67...」
というわけで整備済みの初期型6×7を買って、大久保へ繰り出した。
フィルムを入れてスタートマークを合わせ、裏蓋を閉じる。巻き上げていくと普通はカウンターが進み、ゼロまで来るとシャッターチャージされてカチッと止まるはずなのに、あれ?
フィルムの最後までノンストップで巻き切ってしまった。いわゆる空巻き上げという症状。
急遽、お店に戻って無償修理。私の写欲は粉砕された。
この経験から読者の皆さんにお勧めしたいのは、どれだけ大丈夫と思っても、または大丈夫と言われても、お店でテストフィルムを一本通すこと。そしてシャッター幕が正しく動いているか確認すること。
私も中古を買うときはそうする習慣がついていて、テストフィルムが豊富なお店だったにも関わらず、なぜかこの時だけは嬉々として持ち帰ってしまった。220フィルムを2本、ダークバッグで巻き直す羽目に。フィルムがダメにならなかっただけ、運がいいかも知れない。
それから2週間ほどで修理が終わり、快調に動くようになった。実際使ってみると、ミラーショックは全然気にならない。
初の撮影は、休日の銀座でスナップ(+Velvia100)。
ペンタ67でスナップとか、頭沸いてんのか?と思われるだろうが、いたって正気である。
105mm f2.4
カメラを首から提げた観光客が多いから、ちょっとデカいカメラを肩から提げていたって彼らに紛れてしまう。
俗に〈バケペン〉と呼ばれ、さぞや巨大なのだろう、と敬遠される向きもあるだろう。実は横幅が広いだけで、フラッグシップ機に大三元の組み合わせと大きさ・重さともにさしたる違いはない。
片側の肩に掛ければ、ちょうどカメラは腕の後ろに隠れる格好になって目立たないしね。
150mm f2.8
銀座松坂屋の裏でレンズ交換をしていると、観光客がこちらを見て"Professional…!"と囁きあっていたので微笑み返し。
伝統的なスナップは、好きな背景に、丁度いい構図で人物が通った時がシャッターチャンス。それまでひたすら待機。
彼らは中華料理屋の席待ち、私は通行人待ちで、撮るか?撮るのか?という感じで見られるから、ちょっぴり緊張した。
105mm f2.4
操作感はというと、MF一眼レフとほぼ同じ感覚で使えるのが嬉しい。このさいファインダーが少々暗いのには目をつむろう。
不満があるとすれば持ちにくいこと…
右手が寂しいのだ。ボディにグリップらしいグリップが無いので、ホールド性に欠ける。
三脚にガッチリ据えて撮るなら何の問題もない。しかし手持ちで撮るときは機動力重視。
別売アクセサリーにグリップが用意されているが、あれは構図を整えて、基本置きピンか無限で撮るとき、ブレを抑えるためだけのものだと思う。
操作性を上げるのならば、レリーズつきのグリップを右手側に着けるべきである。
なぜなら、一般的なフィルム一眼の操作は
右手→レリーズ・シャッタースピード・巻き上げ
左手→ピント・絞り
となっており、一度も持ちかえずに連続撮影が可能だ。しかし左手をグリップに持っていかれると、ピントを合わせてから一旦手を放さないとシャッターボタンを押せない。
これならOK
というわけで、6×7は売ってしまった。
(さっきから文句タラタラで、67ファンの方は気分を害されること請け合いですが、個人的な意見と思ってお読み下さい)
これらを一遍に解決する方法、それは「67IIを買う」
ファインダーも明るく、スクリーンを好きなものに交換できる。
グリップも効くしね。
67IIを買う人なんて、相当なヘビーユーザーだろうから、中古はスレ・傷の目立つ個体が多い。Pentaxはまだ公式メンテナンスを受付ているから、買うなら今のうちかもしれない。
期限切れポジで奮闘
最近、忙しくて本格的に写真が撮れない。
いつもの道をちょっと遠回りしてスナップしたり、twitterでの「#今日の空」活動をしてはいるが、日を決めてロケーション撮影、というのができなくて発作を起こしそうだ。
ネガを自家現像している暇はないし、自分でできる現像にお金を払うのは癪なので、ポジで撮ることにした。
というのも、近所の写真屋のオジ様が古いフィルムをたくさんくれたのが大きい。
期限切れてるけど、何とかなる(はず)。95年のポジを使ったことがあるけれど、クロスプロセスする時に通常の10倍の濃さの液で処理してしまい、ほとんど像が得られなかった。(ちなみに濃い現像液ではネガも瀕死の状態↓)写真屋のおっちゃんに貰った期限ぶっちぎり骨董フィルムたち。2枚目ズームイン!#フィルム #film #single8 #expired pic.twitter.com/JTFNJWZMu1
— ニコノス (@nikonosF) 2017年4月14日
─無補正です
今回はE-6ノーマル現像で出してみよう。
それでもやっぱり写るか心配なので、ネットで予備調査。
How to Use Expired Film · Lomography
lomographyのページでは、「ISO800なら、感度が1段くらい下がる」と書いてあるが、この法則はポジにも適用していいのか?うーん。2chをつらつら見ていく。どうやらポジは割とよく写るらしい…
・感度が下がっているというよりは、ただ公称感度が信用できなくなる
・確実に色かぶりするが、度合いは保存状態に左右される
つまり出たとこ勝負。おお、スリル満点じゃないか!
ネットを通して知りたかったのは「ホントに写るか?」だけ。ハイコスト&ノーリターン(ローリターンは許す…)では困るから。
結果、ゴーサイン。
貰ったのはProvia400F, Velvia100, minicopy HRII, T64 など。
一番気になるのがFujichrome T64だな。
タングステンフィルム💡
デーライトで撮ると淡い青の写真ができる。夜景を撮りたいのだけど、感度の低さが気になる。手持ちでいけるか…?
梅雨の頃、使おうと思う。
Kodachromeは、もはや過去の遺物と化したので現像すらできない。白黒でなら現像できるという話、復活の噂もあるが、どうだろうか。
8mmリバーサルフィルム、シングル8は対応のムービーカメラを持っていない。80年で期限切れてるけど誰か使ってくれる人いないかな?(欲しい人連絡下さい)
ネットで「期限切れは現像してくれない」とあったので現像のとき問い合わせると、「期限後1年半までは保証が付くが、それより古いフィルムは保証ナシの現像になる。それでもよいか?」と。
本来の性能から見るとゴミでしかなく、しっかり写るか保証もないのに正規の現像に出すのは、ほぼ狂気の沙汰である…いや、はい。全然OKです。
そして、帰って来たポジを見て驚愕。写真屋のオジ様と3人で大はしゃぎ。
「これは、予想外にイイではないか!」
Provia400F(~2007.7)
Nikon AiAF50/1.4(以下レンズ同じ) 色補正ナシ
猛烈なシアンかぶりである。
色の偏りは、スキャナCanoscan9000f付属のアプリ「SCANGEAR」で「褪色補正」をかけるとキレイに取り除ける。
まあ、全部取り除いてしまっても面白くないので、多少は色味を残しつつ。
感度400だから、ノーマル現像でここまで写るのだ。
Velvia100(~2009.10)
こちらは黄緑にカブっていたが、感度が低く、比較的新しいこともあってか、そこまで気にならなかった。
カブったカブったと言うけれど、実際のところライトボックスで見るくらいなら問題ない。ばっちりストライクゾーンである。
ポジは積極的に絞りを開けて撮っていきたい。
動物をエサでおびき寄せて撮るのはズルである。パンを持ったオバチャンを探せ。
この2本を見てわかった。「期限切れポジは戦力内」だ。
Velvia50なんかを故意に3月くらいの期限切れ状態で使い「色に深みが生まれた」という話も聞くが、これらのフィルムは、とっくにそういう時期を過ぎている。
にもかかわらず、この結果は大健闘と言えるだろう。ちょっと色補正を加えれば、作品にも使えるレベル。
誰もがそうだと思うけれど、被写体を見つけて、写真を撮る、という動作はテキトーに出来ることではなく、その場の景色に感化されて初めて成立する。
節約のためだけに期限切れフィルムを使うのはお勧めしない。大事な写真がダメになったとき、悔やんでも悔やみきれないから。
今回は幸い成功に終わったが、このブログに書いてあったから××年までは大丈夫!みたく盲信するべからず。
大事な撮影では期限内のポジで撮ろうと思う。とりあえずProvia。常用感度として400は欲しいので、噂のエクタクローム再販に期待─!
Kodak Brings Back a Classic with EKTACHROME Film | CES 2017 Press Release | Kodak
最後ちょっぴり大袈裟に書いた老婆心深きニコノスでした。この記事が少しでも参考になれば幸いであります。
もし顔見知りの写真屋さんがあったら、彼らは大抵デジタルに移行しているので、古いフィルムがないか(ダメもとで)聞いてみるのもアリだと思う。
それでは。
保存版 〈フィルムカメラはこう使いなさい〉
まず、この記事のコンセプトをお伝えしよう。できるだけカメラを延命させることだ…
壊れたマミヤプレス
新品で買えるフィルムカメラは、もはや希少。お金が有り余っていれば新品を買えばいいのだが、売っているのは高級プロ機材かトイカメラ。GF670が最後の星❇?
まず、毎日おなじカメラを持って撮りまくっている人。すぐにもう1台買いましょう。
次に、全く使っていないカメラがある人。すぐに売りましょう──
保管といっても、防湿庫に放り込んでいるだけでは「放置」に過ぎない。やっぱり構ってあげなくちゃ…
☆普段のメンテナンス
週に一度は空シャッターを切ることをオススメする。カメラは使いすぎると傷むけど、使わないのはもっとよくない。たまーに、「俺にはお前だけだよ…」とか何とか浮気男のような台詞とともに、シャッターを切ってあげよう。この際、スロー・バルブ・高速と、いろいろなスピードで切ること。
使ったあと、カメラを掃除する人がいるけれど、1つだけ注意。あなたは、高水圧洗浄機の弱点をご存知だろうか?
こすらず自動車や網戸、壁などの汚れを落としてくれるスグレモノだが、入ってはいけないところにまで水が入った結果、モノが故障することがある。
同じようにブロアーを用いてチリ・ホコリを吹き飛ばしているつもりが、少しづつそれらを絞りの隙間から入れることになっていたら、ファインダーのゴミが増えたり、最悪の場合カビも発生しかねない。過度な掃除も考えものということだ。
エラソーなこと言って読者の皆さんを脅している私はというと、カメラの掃除は
①柔らかい布で全体を払う(大きなゴミ除去)
②無水アルコールのタンポンでボディ・鏡筒を拭く(油分除去)
③ミラーボックス内をブロアーで吹く(ミラー・スクリーンのゴミ除去)
④セーム革でタンポンから出たホコリを取る(仕上げ)
という順に行っている。
レンズは拭かないこと。特に後玉はヒドイ汚れの時以外、ぜったいに触ってはいけない。
毎回ではなく、気になったら掃除。汚れたと感じたとき掃除。③は省いてよい。
掃除のやりすぎは時間の無駄だし、しばしば弊害さえ生む。外見だけキレイになるのでは、まったく本末転倒と思いませんか?
できるだけ強力なブロアーが適。
先端にラバーがついていると安心
☆お使いのカメラに応じた保守管理を
一口にカメラといっても、デジイチ・ライカなどに採用されているフォーカルプレーンシャッター、2眼レフや大判レンズで用いられるレンズシャッターの二種類が主で、それぞれ機械式・電子制御式がある。これはマニアならずともご存知の方が多いだろう。
電子式シャッターは、シャッターダイヤルを回すと接点が切り替わってスピードが変わる。この接点の腐食で不能になることが多いから、ダイヤルを何往復かグリグリ回す習慣をつけよう。
機械式の人は、それほど心配いらない。
フツーに使っていればいいのだ。なぜって、直せるから。オリジナルのパーツが破断した、みたいなケースは仕方ないが、一般的なカメラならば、職人さんの所へ持っていけば大抵直る。ライカなんかはいい例。レンズシャッター機も比較的直しやすい。
フォーカルプレーン機は特に、長期間(ひと月以上)使わないなら、巻き上げはフリーにしておこう。シャッターチャージしたままだと、バネが伸びたままになるからだ。自動巻き上げのカメラは、シャッタームラなんかが起こりにくいよう設計されているはず。
これは全てのカメラにいえる事だが、部品が腐食すると当然、ガタが来やすい。ネットを検索すると、カメラ・レンズをとにかく防湿庫へ!という意見が多い。しかし、2日に一度のペースで使っていれば特に防湿庫は必要ないと思う。
私のようにカメラを何台もお持ちの方は、防湿庫へgoです。現像済みフィルムもぶち込んじゃって下さい。
ちなみに私は防湿庫、持っていません。あんなに大きい箱を設置する場所は我が家に存在しないので、パッキンつきのクリアケースに
こいつを入れて保管している。
防湿庫についてもう一言。湿度40%に保つ、というウリだけれど、窓際に置いたりして直射日光が入ったり、温度変化が激しかったりするとよくない。気を付けよう。
レンズについては、折を見て半日くらい直射日光に当ててあげるとカビの予防になるとか。
黄変レンズを脱色させる効果もあります─
靴や鞄などの革製品でよく言われることで、毎日同じものを身につけていると、いわば休みなく労働するのに似て疲労・劣化を早める。
カメラもほどよく休ませながら、ローテーションで使ってあげれば、連日酷使するより長く持つことは自明である。
☆ドライにカメラと付き合おう
長持ちするのは嬉しいことだが、カメラを過保護にしては勿体ない。
結局のところカメラは道具である。
置物ではなく、使ってナンボのものなのだ。
撮影中は本気でガシガシ使って構わないと思う。粗雑に扱うのとは違うけれど、いろんな所へ連れていって、自由に撮るべき。いいカメラなら、きっとその本気に応えてくれる。
これだけの保守・管理をして、使用中に壊れてしまったら仕方がない。修理屋へ持っていくなり、売るなりすればいい。
どうしてもこのカメラがいい!という人は一定数いて、部品取りのためジャンクを収集する業者さんも存在する。
写ルンですに毛が生えた程度のものなら捨ててもよかろうが、昔は高価だったカメラには、きっとドライじゃないファンがいるので、なるべく捨てないようにしよう。
カメラ・レンズは日本の、世界の文化遺産である──‼
カラー自家プリント、はじめました。
私はカラーモノクロともにフィルムで撮っていて、デジタルはもう動画用かポラ代わり、もしくは予備。
フィルム写真を学べば学ぶほど、プロセスは違っても、やっていることは同じだと感じるようになってきた。
多重露光だって、同じコマでやらなくたって別々に撮って同じ紙に焼いちゃえばいい。デジタルはそれがいとも簡単に済む、ただそれだけ。
しかし私はフィルム写真の過程を愛する。暗室が好きなのだ。
今回の記事は、ほぼ時系列順に私のプリントワークへの進歩をお見せする。必要な道具や薬品、注意点などをチョコチョコ述べていこうと思う。
☆☆☆
カラーフィルム→モノクロ印画紙は焼いたことがあったけれど…
うーん、ちょっと物足りないんだなー寒いので、ずっと家でプリント。
— ニコノス (@nikonosF) 2016年12月18日
10月のフィルムです。#photography #coregraphy #filmphotography #ポートレート #写真好きな人と繋がりたい pic.twitter.com/NGMZzyD8oc
モデルさん(ゆいさん)の魅力をもっても、なんだかモノクロフィルム→モノクロ印画紙と比べると雰囲気が劣るというか、カラーで見た感動を超えられないというか…今思えば印画紙が古いものすぎてカブっていたからビミョーに見えたのかも。
でも、やっぱりカラーはカラーで焼きたい。
さて、印画紙どうしよう。
候補としては、フジの紙を買うか、もうこの際練習用として割安なDNPのものをロールで買ってしまうか(この場合全暗で裁断せねばならない)…
最初のうちは特別こだわらず安いもので…という考えもあるにはあるのだが、はじめての出会いはとても大切。ダメなもの(DNPの紙は使ったこと無いので未知数です)を大量に買い込むと、カラープリントを愛せず失意のうちに時間だけが過ぎていく可能性がある。
でも、慣れないうちからフジやKodakの印画紙をバンバン無駄にする(経験のためだから、完全には無駄じゃないのだけど)のは、さすがに気が引ける。
DNPのロール紙は安いし、便利な点もある。データシートをウェブ上に公開しているのだ。フジのは海外向けのものを逆輸入しているから、フィルターの基本補正値などがわからない。慣れれば問題ないが…
処理はRA-4。Kodakの印画紙用処方である。
この現像液でムービーフィルムを現像してしまうツワモノもいるが、私は怖くてできない。
印画紙はヨドバシなど家電量販店に置いてある。RA-4 Paper で検索すればB&Hhttps://www.bhphotovideo.com/bnh/controller/search?N=0&InitialSearch=yes&InitialSearch=yes&sts=ma&Top+Nav-Search&Ntt=RA-4 やFreestyle PhotoRA-4 Paper | B&H Photo Videoで安く買える。
☆☆☆
グズグズしているうちに、2017年になってしまった。
使わないモノやカメラ・レンズを売り払い、少々余裕ができたので購入に踏み切った。
最初はバンバン使うから、とにかく大量に、とFuji CAのロールとオリエンタルカラーのRA-4互換処理液を。カラー印画紙 of 写真創庫
結局フジの印画紙。CAというのはCristal Archiveの意で、飛行機に乗ると会えるお姉さんではない。
もひとつ下のサイズを註文する予定が、在庫切れで仕方なくこのサイズ(10inch×93m)。
どんな梱包で届くのかな、と楽しみにしていたら、厚ぼったいマックの袋みたいなのにドカンと入っていた。包みを開ければ即、印画紙とご対面。明室で開けたら1000円くらい簡単にパア(芯まで感光はしないと思うからこのくらい)。
※必ず暗室で開けること!
裁断機はこれを使った。
10inch≒25.4cm
四切の短辺の長さだ。
長辺が30.5㎝となるので、ある程度の大きさが必要。カラーは暗室灯が使えず全暗下での作業となるから、ガイドがないと手探りで裁断できない。
パーマセルテープを貼ってガイドとする。
トイレットペーパーのようにセットした印画紙を引っ張ってきてチョキン。
なんと5時間もかかってしまった。
恐るべし。93mもあるものね。この作業をまたやる日が来るのかと思うとウンザリするが😩…成果は大きい。四切+1cmくらいのサイズが80枚、10×10inchが100枚、六切が120枚ほどできた。私は元来モノを数えるのが大嫌いな上、正確に数えるのも嫌になるほど疲れたので、気になる方は計算してみるといい。箱で買うより(大幅に)コスパいいはず。
コダックのKHTデジタルペーパーは日本の代理店が印画紙ロールを裁断、箱詰めしての販売らしいので、手間はかかってもやっていることは同じだ。このCAペーパーは説明に「デジタル対応」とあるが、「対応」なだけで手焼きにウェイトがあるのは明白。
カットした印画紙の保管について、私はロールが入っていた袋に入れている。四切サイズとスクエアが入りきらなかったので、新しく暗袋を調達し、手を突っ込む所を折り返し、黒テープでガチガチに固めて入れている。暗室で二重ジッパーを開けたり閉めたり、出し入れが非常にメンドくさい。
印画紙(50,100枚入とか大きめ)の空箱を用意できるとベストかと思う。
ちなみに、長巻フィルムとか、印画紙なんかが入っている暗袋は、いろいろと重宝することが多いので、必ず保管するようにしている。例えば、段階露光に使うため細長く切った印画紙を入れるのに役立つ。
今のところ、印画紙は"冷暗所"に置けということで、物置に保管してある。
☆☆☆
カラープリントのバイブル。蛍光灯やタングステンライトの補正など、内容は多岐に渡る。
もちろん読んだからといってスグできるわけではない。スポーツの指南書と一緒だ。
「プロのため」らしく、カラープリントの自動プロセッサCP31の使い方なんて書いてあるが、肝心の機械が製造・サポート(2016年1月まで)ともに中止だし、中古で買っても8万は下らない。欲しいけど、欲しいけど…‼
こうなったらもうバット現像しかないではないか。
バット現像なんてムリだろ、と思ったそこのアナタ。実はKodakの公式ページに指南があるのだ。KODAK PROFESSIONAL セルフカラープリント
モノクロの20℃と比べると、温度管理がタイヘンだ。
恒温器の自作も検討したが、割とコストがかさむので熱帯魚用のサーモスタットで代用。
20℃-35℃の範囲で調節可能なモノを2台。発色現像+漂白定着用。どちらも35℃に合わせるのだが、冬で気温が低く、更に循環が行き届いていないこともあり、なかなか35℃に保つのは難しい。循環モーターを付けるか、ヒーターとセンサーが別々のタイプであれば、精度は高くなるだろう。もしかすると夏季なら丁度いい温度になってくれるかも知れない。手現像用の33℃/1minでもいいとしよう。
ロールから切り出した印画紙は湾曲が強いので、紙全体を液に浸すにはトングじゃ役不足。よって、ラテックスの手袋を二重に装着して手で押さえながら浸けている。
(※二重にせず長時間作業していると、どこかから確実に浸水するので、健康のために実施して欲しい。)濡れた手は、専用のタオルを用意して拭こう。
また、素手や布手袋で乳剤面に触ると、変な跡がついてしまうので、左手にもゴム手袋がいいだろう。
秒針の音が聞こえる置時計を頼りに35±0.6℃で45秒。感覚で「少し下がっているな」という時は延長するなり、乳剤面をナデナデするなりで処理を進める。
このとき出来るだけ液を撹拌し、温度を均一にする。ちょっと感覚的だが仕方ない。でも、やればわかる。
水ですすいで、漂白定着45秒。こっちは許容範囲が35℃±3℃だからテキトーに。
モノクロ印画紙なら停止が終わり、定着液に入れた瞬間明かりをつけてよいが、こちらは定着も暗室で行うべし。そうしないと、みるみるうちに色が変わっていく。
そして、最も難しいのがカラーフィルターの数値である。
まず、ネガ→ネガ印画紙の仕組みはネガフィルムと同じで、色の反転したネガ画像を印画紙に露光すると、反転の反転、つまりネガのネガでポジになる…
ま、あまり難しく考えると分からなくなる。紙を2回裏返すみたいな話だ。
ここからが本番。
光の三原色YMC(順にイエロー、マゼンダ、シアン)のフィルターを使い、自分の欲しい色に近づけていく。
イエローが強ければYフィルターを強め、ブルーが足りなければMとYを、などなど…
ただの法則であるから、参考書と首っ引きで経験を積み、覚えてしまえば単純なこと。ネットにも資料はある。
以下に私が焼いた何枚かをデータとともにお見せしよう。スキャナやモニターの環境により色の出方が違うので、正確にお届けできる自信がないからネガスキャンの写真のみを載せることにした。プリントとあまり色は変わらないので参考にはなると思う。
ついでに言っておくと、ネガスキャンはかなりイメージに近い。スキャンされたデータを超えるプリントを作るには、一定の努力と経験を積む必要がある。
Fuji X-TRA400・C6 M90 Y60 F11・6sec バックの白覆い気味で
Pro160NS・C5 M30 Y80 F11・5.5sec 空覆い(-2EV)
Ektar100・C5 M90 Y90 F16・14.5sec 下半分覆い(-1EV)
訓練されたプリンターの方であれば、大まかでも判断して補正できるのだが、ズブの素人だと、なかなか細かい数値の補正には目が回らない。わからなすぎて目が回る。
濡れている時と乾燥後の色が違う気もする。また、観賞環境の光源も大きく影響するのだ。懊悩。
印刷の色校正など、カラーを扱う会社の照明には、演色性に優れたライトが用いられているらしい。
演色性とは、Ra100を最高として自然光にどれだけ近いかを示す尺度であり、一般的に90以上のものが色評価用の光源として認められている。
初めてのカラー暗室ではタングステンライトの下でプリントを見ていたので、全然わからなかった。しっかり見たいときは一度、屋外へ出て確認していた程だ。
東芝 E-CORE(イー・コア) LED電球 <キレイ色-kireiro-> 一般電球形 8.8W(高演色タイプ・密閉形器具対応・白熱電球40W相当・550 ルーメン・昼白色) LDA9N-D-G
- 出版社/メーカー: 東芝(TOSHIBA)
- メディア: ホーム&キッチン
- 購入: 1人 クリック: 1回
- この商品を含むブログを見る
風呂場の電球をRa90のこれに替えた。本当に快適。
ああ、初期投資がかさむ。カメラもレンズも売れるだけ売った。
さあ始めよう。
一般的なユニットバスを暗室として使う方法を解説する。
図のように、重みに十分耐えうる蓋(←これ大事)をバスタブに載せ、それを机代わりにする。引き伸ばし機を置き、バットを並べて水洗まで動線をつくる。「現像」「定着」は「発色現像」「漂白定着」と言い換えてもいい。(停止)と書いたのは、モノクロのとき流しにクエン酸停止液を入れているからであるが、カラーでも現像液が定着液に混ざるのは極力避けたい。よって紙についた現像液を水で一旦すすいでから定着に移っている。
水洗はプリントウォッシャーがあれば最高なのだが、4切サイズで10万円とかフザケた値段なので、代用品を。無印で売っている、A4サイズのクリアケースにワイヤーネットで仕切りを作って使う。焼肉の網は加工しにくそうなのと、印画紙を傷つけそうなので、コーテッド網がいいと思う。
ルミナス ポール径25mm用パーツ 収納性アップパーツ サイドネット 取付用S字フック付き 41×75cm NT4576
- 出版社/メーカー: ドウシシャ
- メディア: ホーム&キッチン
- この商品を含むブログを見る
私は大きくて安いのを100均で入手し、ニッパーで切って使っている。
クリアケースの側面、下の方に親指の付け根大の穴が開いているので、コルクやテープ、または耐水グルーで塞ぐべし。
次の紙を焼いている間に水洗を済ませ、ある程度溜まったらドライウェル浴、ドライヤーで乾燥。
あんまり長い時間水に浸けておくと、端っこがシナシナになってくる。ここだけの話、忘れて半日くらい水中に放置したことがあって、気付いた時かなり焦ったが乳剤面は何ともなかった。
出来上がったプリントは、重ねずに一晩くらい室内に置いて、完全に乾かしてから大きな本に挟んで平らにした上、印画紙の空袋に入れて保管している。無酸性の薄紙を間に挟んでこれまた無酸性のストレージボックスに収納するのが正統派だが、プリントだけで精一杯なのと、置く場所さえないのでこの状態に甘んじている。
カラープリントをしてみて良かったことは、撮影時に露出をしっかり出すようにしたこと。ネガだから、と甘く見ていたが、やはり適正露出のネガから最も美しいプリントが生まれる。
冒頭でも述べたが、気付いたことは自分の色を探して、それを大きくプリントする行為はデジタルと何ら変わりがないということ。フォトショップは「デジタル暗室」だ。でもフィルム写真の雰囲気は、まだデジタルでは表現できない部分が多い。だから、ちょっと腰や懐が痛くても自分はやっぱり暗室かな、と思う。
大きく伸ばしてみると、レンズごとの違いとか、フィルムの違いを痛感することになる。
特に35mmカラーフィルムに関しては、大伸ばしの際「汚いな~」と思うことがある。プロ用フィルムはちょっとマシ。
だから私は、引き伸ばすだろう写真に関しては、35ミリについてはほとんどモノクロで撮っている。モノクロなら粒子が多少荒れていても「カッコいい」になるから。
これは今の私の感想であり、また変わるも知れない。突然「画質悪い感じがイイんだよ」とハーフ判でバリバリ撮りはじめるかも。
最初は文字通り暗中模索だったが、段々と色もわかるようになってきた。読者の皆さんにとって、この記事が少しでも参考になれば幸いであります。