ニコノスの写真日記

フィルムとデジタルの狭間からお送りします。毎日写真を撮って気付いたことを書くブログ。スナップ、ポートレートが大好き。twitter: @nikonosf

ちいさな銘玉 Nikkor-H 85mm

私のオールドレンズ遍歴 No.3

Nikkor-H Auto 85mm f/1.8
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このスペックでフィルター径Φ52って、信じられる?

 

オールド・ニッコールはボケが硬い。でも、ピント面のシャープさはピカイチ。

完璧な人がいないように、完璧なレンズも存在しない。各収差が即ちレンズの個性であり、味である。

古いレンズは癖が多いので、びっくりするほどヒドイ絵になることもあるが、その逆もあるから楽しい。数値性能としては現代と比べ物にならないけど。

 

最近のレンズは本当に優等生。何よりファインダーを覗いたときのシャープさが違う。一眼レフは基本的に絞り開放でピントを合わせるので、いつも見ているのは開放時の像。だから解像甘いなーとか、撮っていて感じてしまうのだ。

特に古いレンズは、暗くて撮れないとか、よほどのことがない限り少しは絞るようにしている。

高画素センサー用に作られたレンズをフィルムで使ったらどんなことになるのか、とても楽しみではある。

 

Nikon用の85mmは、AFMFともにたくさん揃っており、他社製を入れればもっと増える。Planer1.4/85。

AFじゃないんだけど、一度は使ってみたいナ、と思わせるZeissの魔力。

 

AFじゃ! 

 

 

 

Ai85mm f/1.4Sは以前使ったことがある。参考までに載せておこう。

暗いうちに目が覚めたので撮影へ。

開放 

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開放 

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街撮りには割といい画角。あ、望遠で盗撮は駄目だからね。

 

このレンズ、かなり太くて大きい。フラッグシップ以外の機種にマウントすると、ちょっと滑稽なまでの見た目になる。Nikkor 1.4/85 mmでも、重さは裏切らない。花なんかを撮ると、けっこう鮮やかに仕上げてくれる。

もちろん絞り開放
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何よりピント面をギュッと引き立ててくれるボケ味。まさに真性のポートレート用レンズである。

やはりフィルム時代のレンズということもあり、設計のシンプルさ故、単焦点で10群を超える現代のレンズには解像度、収差の面で太刀打ちできないが、十分使えるレンズと思う。

85/1.4のレンズだと、あのAF85/1.4Dが銘玉と叫ばれていることは有名だ。Nikonの新設計思想「三次元的ハイファイ」を支える計測機器“OPTIA”も示したことらしい。

私は(あくまで私は)フルタイムMFが出来ない、という時点で使いたくないが…

 

Ai85/1.4sについては、F3にマウントしてもまだ大きく、モードラをつけないとお辞儀をしてしまうので手放してしまった。

 

次は本命、Nikkor-H Auto 85/1.8。

 
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このレンズは私が最も長く付き合っている85mmだ。Pentax SP時代は、標準55mmのみで撮っていた(いま考えるとエライ!)が、ポートレートやるぞ!となって真っ先に手に入れたのがこれである。

 

 

自分に合ったレンズが欲しいな、と思いながらもネットで検索をかけまくり…「Nikon オールドレンズ 銘玉」とか「Nikkor ポートレート」とか…みんな調べるよね?

 

でも、個人のブログにはそれぞれ好き勝手書くわけで、あるブログには「現代的な写りがイイ」とあるのに「ボケの汚い駄作」と書く人もある。多くの人が実はレンズの専門的な事をあまりよく分かっていなくて、自分の感覚のみを信じて書いているのだ。さらに個体差がプラスされるので、もう何を信じたらいいのか迷ってしまう。

(買って)使ってみないと分からんぞ、ということだ。

 

 

かくいう私も、実写画像を見せられて「どんな収差が未補正か?」なんて聞かれても満足に答えられる自信はない。後ボケの方が汚いですね、くらいは言えるかも。

だからこのシリーズは本当に役に立つ。ニッコール千夜一夜物語 | NIKKORレンズの描写を考えるには構成を見るのが一番手っ取り早い方法。○○型はこういう特徴、と類別できるからだ。ちなみに私はダブルガウスが好き(聞きかじり、ですって…?)。

 

アイドル写真集みたいなキラキラしたボケの写真を撮ってみたくて、F1台のものを探した。オークションで見つけた気泡入りのコイツを落札して、自分で清掃して、Ai改造を施した。

非Aiレンズは絞り込み測光で、と言うけれど、ついついプレビューボタンを押すのを忘れ、失敗写真を撮ってしまう。そんなことなら削ってしまえ、とネットの情報を頼りに作業したわけだが、切削はとても正確だけど、素人改造だからもう下取には出せない(笑)

心配な方は関東カメラサービスさんにて切削改造を受け付けているそうなので、参考まで…にならなかった。閉店だって。http://kanto-cs.co.jp/

 

 

やってしまった。


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でもね、私はこれで十分。

 

f2.8
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絞れば解像度もこんなに高い、と言いたいけれど、スキャンの解像度が追い付かない…

写真はプリントが最終出力だから、出来ることならプリントスキャンでお届けしたいのだけど、まだプリント技術を学べていない。


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このコマは割とシャープに写ってるかな。

f5.6
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デジタルでもイケる。 

写真を撮る時AFは便利だけど、85mmでそれほど一瞬を争うカットに遭遇することは少ない。使うときは十分ピントに注意するので、実際AFが最も必要なのはじっくり撮る望遠ではなく、パッと撮る広角なのではないだろうか?と考えるようになった。

 

このレンズは重いことだけが気になる。

純正フードHN-7付きで約480gもある(AF-S85/1.8G:350g,AiAF85/1.8D:380g)ので、気軽に撮影するときはちょっとした荷物だ。

フードをつけると見た目もすごい

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家に置いて出ると、ああ85mm欲しいなと思うことが多いので、悔しい思いをしないように我慢していつも持ち歩いている。

 

気泡が写り込んだことはないし、ゴミが入ったら前群を取ってブロアーで吹けばキレイにできる簡単な造りである(ゴミが入るのは大抵絞りのある空間だから)。

メーカーAi改造のものは絞り環だけでなく絞り羽根も枚数が多いものに交換してあるらしく、
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絞り羽根は6枚

 

もし手に入れたら、よりキレイなボケが得られるんじゃないかと期待している。 けっこう好きな写りなので、いい出物があったらまた買うつもりだ。