Bronica S2とポートラ
以前記事にしたリコーフレックスを手放した。
1950年代当時は白黒写真だったから、とアクロスで撮っていたのだが、多重露光もしていないのに何か厭なものが写ってしまった気がして怖くなったのだ。モノクロだから余計に怖い。
たぶんあのカメラと相性が悪かったんだと思う…
中判はぜひ撮り続けたいので、代わりを探していた。
☆候補
川内倫子さんやVivian Mayerさんみたくローライフレックスor安価軽量のローライコード?
知り合いにいる本職の愛機バケペンことPentax 6×7?
蛇腹の傷みが心配、だけどコンパクトなフォールディングカメラ?
風景派に人気のフジGF670?(←6×6にも換装可能)
みんなの憧れHasselblad?
選択肢が多すぎる。
- 折角なら「ましかく写真」が撮りたい
- ポートレートにも使いたいので、ピント合わせは厳密にしたい
- 修理の効く機械式がいい
よしよし、だいぶ絞られた。
マミヤ6などのフォールディングカメラで固まりそうだったが、距離計つきでレンズも良いものを、となると無理な要求らしい。
どうする?
中判ともなると、レンズの粗が見えやすいと思う。あ、ピントの粗もね。
単純に35mm(一般的な135フィルム)の数倍大きなフォーマットで、ボケやすい反面、ボケ味が汚いとよく目立つのだ。周辺の像が流れるとか、古い設計のレンズでは不思議じゃない。テッサーはどんな被写体も難なく写すけど、裏を返せば平凡。明るめで高画質で楽しい写りをしてくれるレンズが欲しいのです。
ああ、なんて注文が多いの?
ローライフレックス、ローライコードを重点的に調べていて、テイクレンズ(下の方の撮影レンズのこと)には現代においても評価の高いプラナーと並びクセノター(Xenotar)という5枚構成の名玉があり、欧米を中心に人気がある。また、6×6版ゼンザブロニカ用にニコンが供給していたNikkor-P 75mm/f2.8というレンズがクセノター型のレンズだ、という事実を知るに至った。
ニッコールレンズに絶大な信頼を寄せている私としては、ぜひとも使ってみたい。
このレンズとこのモデル(機械式フォーカルプレーンシャッター)のセットが欲しかったから、安いものをじりじりしながら探していた。レンズとボディを別々で買うと、少し高くつく。セットで売られているものは多分セットで下取りされたもので、相性についてはまず問題ない、という予測に基づいている。
カメラ好きが作ったカメラだから、文句なしにカッコいい。
ゼンザブロニカS2はヘリコイド(MFでグリグリ回すピントリングのこと)がボディに装備されていて、ミラーが下へ降りるのが特徴。残念ながらミラーアップは不可能だが、巻き上げなくてもミラーが戻ってくれるクイックリターン式。
モデルさんを撮る時なんかは、重厚感のあるシャッター音がその場を撮影という世界に強く誘う。
撮ってる人も、撮られてる人も気持ちいいのだ。
さて、あこがれのPortra400を入れて撮影へ。
露出計は付いていないので単体露出計を持って行こう。
普通の街を撮ったり、気になった人に声をかけて撮らせて頂くのが私の撮影スタイルなのだが、75㎜の焦点距離でピント面は薄く、f2.8で像が暗いためポートレートは非常にストレス。
中判は35mmと比べて圧倒的にフィルム面が大きいので、単純に画質が良い。
開放1秒露光。
自転車。
このレンズ、75㎜/f2.8はピント面がかなりシャープに結像する。ボケ味も悪くない。
ブロニカは220フィルム(6×6だと24枚撮り)にもノブひとつで対応するので、フジのPRO160NSを使って、コダカラー現像に出せば最も安価にブローニーが撮れる。現像のみならば処理は(細かな違いはあるだろうが)どちらもC-41だから問題はない。自家現像すれば更に安いだろう。
☆計算メモ
pro160ns 5本入り¥4473÷5=894.6
コダカラー現像 ¥720
一本あたり約¥1615
一枚あたり約81円
ケチるつもりは無いけれど、どうしてもブローニーで沢山撮りたい方はご参考まで。
ブロニカ購入時の注意。フォーカシングスクリーンが脆いモルトで支えられているため、無限遠が出ていないように見える個体がかなり多い。そういう物はf8以上に絞って目視で撮る以外ピント合わせが困難だ。試し撮りできるくらいの間、保証が利く店で買うことをお勧めする。
ではまた。